光で見る・視る・診る〜フォトニクスと医学の接点〜

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研究室のプロモーション動画(4 min,58 MB)

見ること
「見ること」は,あらゆる科学・技術において,最も直感的かつ人が納得できる形で答えを示してくれる手法です.
例えば,ボールを投げたときの軌道一つとっても,最も正確にその運動を捉える方法は,ボールを直接観察することです. 中学や高校で習った物体の軌道の公式は,「このように数式を作ったら,なんとなくうまく説明できそう」という”予測”でしかありません.その予測が正確かどうかは,あくまでボールの軌道を正確に計測する必要があります.
他の現象も同様です.アインシュタインが作り出した相対性理論も当初は正しいかどうかわかりませんでした.相対性理論で予測されたブラックホールなどを「見ること」で,初めてその正当性が認められました.
「人間は細胞でできている」と言われても,なぜそれが信じられるのでしょうか?顕微鏡で直接「見ること」で,初めて細胞という存在を確実なものとできます.
つまり,「見ること」によって初めて理論の正当性が見出されます.
また,理論が存在しなくても,「見ること」によって新しい科学や技術を生み出すことができます.
医学における「見ること」
「見ること」が特に重要な価値を持つ分野が「医学」です.
ヒトを直接診断・治療する「臨床医学(医療)」においては,ヒトの組織を観察することで治療の方針を決め,手術では治療部と温存部をヒトの眼やカメラで見ながら適切な処置を行います.
また,ヒトの生命力や病気を明らかにする「基礎医学」では,細胞や組織中で機能する分子(タンパク質や遺伝子など)を観察することで生命現象を紐解いていきます.
フォトニクスによる「見える化」〜光と物質の相互作用を使いこなす〜
ヒトの中でアクティブに動いている細胞や分子を見る有効な方法が,光を活用した見える化です.
光は,世の中にありふれたものです.そのため,ヒトに影響が出ないように光を照射することができます.また,真空,乾燥などの特殊な条件下でなくても使えます. つまり,「ヒトに優しい見える化」を実現できます.
光は物質と相互作用することできます.相互作用すると,光の何かの情報が変わります(光の強さ,波長など).この”変化”を正確に捉えると,何と相互作用したのか,その対象がどのような状態なのかがわかります.
特に,光と物質の相互作用を探求知しながら,光を科学する学問を「フォトニクス」と呼びます.


フォトニクスについての簡単な紹介.夢ナビTALK(3 min.※以前撮影したもののため,所属は前職の徳島大学になっています)


光と物質の相互作用についてのより詳しい説明.大学での講義の一部を切り取ったものです(30 min,406 MB)

「見ること」を極めて「医学」に資する〜メディカル分子フォトニクス研究室〜


分子フォトニクスとは?エレクトロニクスとの関係は?など研究室と学問の関係の説明.大学での講義の一部を切り取ったものです(13 min,330 MB)

我々の研究室は,光の科学の探求を通して「見ること」を追い求めるフォトニクスの開拓を目指しています. 特に,医学に展開して,異分野だからこそ見いだせる新しい発想を生み出しますことを目指した「メディカル分子フォトニクス研究室」を運営しています.
本研究室では,自作レーザーや光コム光源などの製作,光と物質の新たな相互作用を探求,およびそれらを用いた新たなフォトニクスの創出を目指した「見ること」を実現する基盤研究,及び,それらを医学・生物学を中心とした異分野へ応用し異分野に新しい発想を生み出す応用研究を行っています.
本研究室のモットーは,“百聞は一見に如かず”です. どんなに頭では理解しがたい現象でも,「見ること」によって現実として認識され,新しい考え方が生まれます.また,構築した理論が本当に正しいのかを「見ること」で確実のものにできます.
「見ること」で具現化した「現象」を正確に捉え,その「本質」を見極めることで芽生える「可能性」が,新たな「科学」を生み出すと思います.また,その科学を多角的に捉えることで,新たな「技術」を生み出し,産業に繋がる原動力となると思っています. ひとつの分野にとらわれず,あらゆる分野の手法を駆使し,世界で初めての「見る」技術を生み出したいと考えます. そのために,"失敗を恐れず,本質を見極め,あらゆる可能性を生み出し,展開していく"ことを重要視しています.
summary


フォトニクスの医学への応用例.大学での講義の一部を切り取ったものです(24 min,431 MB)

より詳しく研究室を知りたい方へ
下記のWebも参考にしてください.
https://www.molecular-photonics.com/j/index.html